これは、日本図書館学会研究委員会編『ネットワーク情報資源の可能性』(論集・図書館情報学研究の歩み 15集)日外アソシエーツ刊 1996年1月発行掲載論文に最低限の変更を加えたものです。
インターネット時代の公共図書館サービス
--米国の状況を中心に
図書館情報大学 根本彰
1 はじめに
インターネットはまったく新しい情報流通の場である。従来、パッケージ化された情報の発行、流通、利用のサイクルのなかで、図書館はその収集保存提供をになうことで存在理由を示していたとすれば、インターネット上のディジタル情報のやりとりはまったくこれを変えるものである。情報の蓄積・検索をネットワーク上で可能にするディジタル図書館の出現をはじめとして図書館をめぐる技術的状況を大きく変化させ、場合によっては図書館制度そのものの存在にも関わる大問題を提起する。この大きな波に比べれば、これまで図書館情報学で研究されてきた図書館の機械化であるとか情報検索といった技術は、すべてネットワーク上でディジタル情報がやりとりできるようになるための準備過程にすぎなかったといっても過言ではない。
公共図書館の問題としてインターネットを取り上げる場合には、ネットワークのネットワークであるインターネットが空間を超えて情報の交換を可能にする新たな公共的な場をつくり出し、この機制が公共図書館が担ってきた機能と重なっているという点がもっとも注目すべきポイントである。インターネットは次の世紀には現在の電話とテレビを合わせたようなほとんどの人がアクセスしうる公共的な情報交換の場になることが予想されているが、これが実現するときに公共図書館が本来もっている特性とかなり似通ったものになるはずである。
もちろん現在インターネット上で利用できる情報は断片化された一時的なものが多く、図書や雑誌のような大きな情報単位を長期的な保存も含めて処理していた公共図書館にとってあまり影響力はないように見えるかもしれない。確かに図書や雑誌といった情報メディアが近い将来消えてディジタル情報に置き換わっていくということは考えにくい。しかしながら、この電子情報は次の点で無視できない存在になりつつある。
第一に、公共図書館サービスでもこのような断片的になった情報を提供する要素がますます強まっていることである。レファレンスサービスや情報サービスに力を入れる図書館の増加、各種のデータベースの導入などがそれを示している。
第二に、これと関係あるが公共図書館がかつてのように情報を保存した上で個別的な要求に応えて提供するばかりでなく、出版から時をおかない情報提供、すなわちドキュメントデリバリーの機能を強めていることである。利用者が情報の即時的な利用を要求すればするほど、ベストセラーの提供に見られるように要求への対応を重視する図書館はその傾向を強める。また学術図書館と同様に、雑誌を記事単位で提供するような要求も増えているのである。
第三に、インターネットが研究者の情報交換の場から誰もがアクセスしうるコミュニケーションの場となりつつあり、一般の人々が気軽に利用できるようになりつつあることである。すなわちインターネットは出版流通をはじめとする印刷物の交換市場に匹敵する情報の自由なフォーラムを形成する可能性を秘めているのである。
第四に、インターネットは単なる情報交換の場、コミュニケーションの場であるだけでなく、情報の蓄積と検索、あるいはブラウジングを可能にする場でもある。マスメディアのように送り手が中心の情報流通ではなく、利用者主体の情報探索が可能になるという点でも図書館の機能とよく似ているのである。
本稿ではこれらの点を前提にして、公共図書館を来るべきディジタル情報社会の中で生かすべき方法を考えてみる。わが国でインターネットに関する議論が一般的に現れたのは、ほんのここ1〜2年のことであり、図書館での議論も大学図書館や専門図書館が中心である。そこで公共図書館を取り上げるためには、政策的議論があり、一部の図書館では対応が始まっているアメリカの状況を事例にして考えてみたい。また、最後にわが国で検討すべき課題について述べる。
2 情報スーパーハイウェイ構想のなかの公共図書館
米国の情報スーパーハイウェイ構想が現副大統領ゴアのイニシアティブのもとに21世紀の産業構造の転換までを視野に入れた壮大なプランとして提出されているのは周知のことであろう。しかし、そのなかでの図書館の位置づけについてははなはだ曖昧である。
確かに、情報スーパーハイウェイの主要目標の一つが「米国のすべての教室、病院、図書館を全米情報インフラストラクチャー(National Information Infrastructure;NII)に結びつけること」であると喧伝されたため、図書館界は大いに活気づいた。さらに、1993年9月にクリントン政権はこの構想を実現するための一連の具体的プランである「全米情報インフラストラクチャー:政府行動計画(アジェンダ)」を発表した。1 この中では、NIIが「情報化時代に暮らすための、そして同時に技術的進歩を市民、企業、図書館その他の非政治的機関に役立ててもらうための基礎的な土台を提供するもの」であるとしている。そして、NIIが約束するものの例として「大学や大都市の図書館や博物館だけでなく、どこにいても芸術、文学、科学などに関する膨大な資料を利用することができる」ことや「直接あるいは図書館などの身近な機関を通じて政府情報を得ることができ・・・」などとして、図書館的な機能を情報インフラストラクチャーのひとつに位置づけ、通信ネットワークを駆使してそれらを運用していくことを表明している。
ここでは情報ネットワーク技術と図書館との関係が次の三つの点に示されていることがわかる。一つは、既存の図書館システムをより効果的に利用するために情報ネットワーク技術を使用することであり(図書館のネットワーク接続)、二つ目は既存の図書館とは別にディジタル情報ネットワーク技術を駆使した電子図書館を整備することであり(ディジタル図書館構想)、三つ目には図書館以外の情報インフラストラクチャーを構成するもの図書館を通じてアクセスすることである(ネットワーク・アクセスの場としての図書館)。これらは相互に密接に関わり切り離すことがしにくい場合もあるが、基本的に別のものであり、区別しておきたい。
図書館界はこの構想に大いに乗り気になっているが、その期待通りにすすんでいるわけではない。情報スーパーハイウェイ構想において政府が実行する部分はテストベッドと呼ばれる実験的なプロジェクトを中心とするため、技術志向のプランとなりがちで、図書館に関わるといっても政策的には二つ目のディジタル図書館の技術開発の部分にかなりの重点が置かれているのは否めない。情報スーパーハイウェイ構想を具体的に展開したHPCC(High Performance Computing and Communication)プログラムのなかでは、NRENが研究教育のためのギガビットネットワークを整備する実験的なプログラムとなっている。2 このなかで図書館が重要な位置づけになることが期待されているが、McClureらが指摘するように、図書館の接続のためにNRENの予算が充当されているわけではなく、図書館のネットワーク接続が達成されるかどうかはそれぞれの図書館で創造的なアイディアで運用できるかどうかにかかっている。3
大学という従来からインターネット開発に積極的に取り組んできたコミュニティを抱えている大学図書館はこれに比較的早い時期から取り組むことができた。しかし、公共図書館はそのような要素をもっておらず、現在のところ大公共図書館でネットワーク対応の態勢が整いやすいところでなければ、たまたま財源と人を得られるという偶然の要素によってサービスが行われているにすぎない。
3 公共図書館のインターネット接続状況
全米図書館情報学委員会(NCLIS)は1994年にシラキューズ大学情報学部のマクルア(Charles R. McClure)以下の3名の研究者に委託して、公共図書館がインターネットをどのように利用しており、今後公共図書館はどのような政策でインターネットに臨むべきかの調査研究を発表した。研究の目的は、「全米情報インフラストラクチャー(NII)」との関係で図書館をインターネットに接続することが明言されているにも関わらず、図書館がネットワーク環境においてどのような役割を果たすべきか明確になっていないことから、現状を把握し、図書館員および図書館政策の担当者に対してネットワーク政策の提言をすることである。
この調査は全米の1495の公共図書館を対象に行われ、うち1148通が有効回答であった。調査は図書館の規模別および地域別に集計されている。主だった調査結果を次に紹介しておく。4
・インターネットに接続している図書館は全体の21%である。地域別では 西部や北東部が高く、南部や中西部は低い。規模別では規模が大きいほど接続率は高まり、例えば人口100万人以上の地域にサービスしてい る図書館だと77%が接続しているのに対し、1万人未満の地域サービス しているところだと13%にすぎない。
・接続をしているところでの接続方法はパソコン通信方式(VT-100ターミナル)が47%、電子メールを読み書きするゲートウェーのみの利用が14%、直接の接続は7%にすぎない。・接続を提供するのは州の図書館ネットワークがもっとも多く、OCLC、フリーネット(後述)、地域ネットワーク、地方自治体ネッワークなどが続く。
・インターネットを使って何をするのかという質問については、電子メールを使う図書館が全体の83%にのぼり、ついでMosaic/Gopherが69%、Telnetのようなリモートログイン63%、書誌ユーティリティへの接続が 63%、リストサーブやニュースなどの利用が57%、FTPの利用が38%などと なっており、主要なインターネットでのサービスがあがっている。
・インターネットを利用した利用者サービスのトップにあげられているのが、連邦政府の刊行物(ドキュメンツ)の提供(43%)であり、ついで電 子索引(書誌データベース)へのアクセス(42%)、レファレンス質問への回答(41%)、相互貸借サービス(38%)などが続き、あとは電子雑誌のアクセス(23%)、インターネットを利用した教育プログラム(17%)、ソフトウェアのダウンロード(7%)などとなっている。
・インターネット接続をしている図書館のうち、一般の利用者に端末を開放しているのは13%にすぎない。この公開度は図書館の規模が大きくても小さくてもあまり違いがなかったが、地域的には西部と南部の公開度が高い。地域的なネットワークやフリーネットに情報サービスを提供している図書館は13%にすぎない。しかし人口50万人から100万人の地域をサービス対象としている図書館では32%と高い数値を示している。
ここに現れているのは、全米の公共図書館のなかでインターネットを何らかの意味で利用しているところはせいぜい2割程度であり、利用しているところでも電子メールの読み書きやMosaic/Gopher/Telnetによるネットワーク情報源の検索・利用、書誌ユーティリティへの接続が中心であるということである。これは、一般に州政府の援助で運営されているネットワークや地域ネットワークなどにパソコン通信方式で接続するのが大部分で、専用回線による直接接続や公衆電話回線を通じたSLIP/PPP接続などのIP接続がかなり少ないことを示している。インターネットを手紙や電話、ファクシミリ代わりに、あるいは従来の回線に代わるデータ通信手段として利用したり、インターネット上の情報資源を利用したりするのが中心である。こういう状態であるから、専用回線で24時間接続されていなけばできない情報提供サーバを立ち上げるようなことはまだまだ少ないということであろう。
4 公共図書館のインターネット利用法
4.1 インターネットの利用
公共図書館のなかでインターネットへの対応を積極的に進めているところはまだそれほど多くはないが、一部の図書館は自館の業務や利用者サービスにインターネットを取り入れている。ここでは図書館がインターネット上に情報提供を行うようなケースを考えてみたい。これが相互接続と双方向性というネットワーク利用のもっとも典型的でかつ従来の図書館サービスから見るときわめて新しいともいえる方法を実現するものである。
インディアナ州セントジョセフカウンティ公共図書館(St. Joseph County Public Library:SJCPL)はWWWサーバを立ち上げ各種のサービスを提供しているが、そのなかで他の公共図書館がインターネット上でどのようなサービスを行っているかの情報収集を行い、それをホームページで紹介している。それによると、95年2月15日現在で、北米(ヨーロッパの例が2例とカナダの例が数例含まれる以外は米国の図書館)でインターネット上に情報提供を行っている公共図書館は220館存在している。その内訳は、Gopherサーバが9館、WWW(World
Wide Web)サーバが16館、Telnetサーバが195館ということになっている。5
インターネットへの対応としては、電子メールで利用者からのリクエストを受け付けたり、レファレンスサービスの質問応答を行うとか、ローカルな範囲に流れるネットワークニュースを掲示板として利用者にニュースを流したり、利用者からの図書館サービスへの要望を書き込んでもらうといった利用の仕方も考えられる。これらは技術的には容易なことだが、個々の利用者の要求への対応が必要なこともあって実施の例は少ない。情報提供の方が図書館側から見ると実施しやすいことは確かであろう。
4.2 Telnetサーバ
米国の公共図書館でインターネット上に情報提供を行った最初の図書館はシアトル公共図書館であるといわれているが、ここが提供するTelnetサーバは次のGopherによく似たメニュー階層をもっている。Telnetサーバとは従来の大型機やミニコン、ワークステーションを使用した図書館のデータベースシステムが外部との通信機能をもつときにUNIXの標準的な通信プロトコルであるTelnetを使用したものである。パスワードは設定しておらず、Telnetを利用できるコンピュータならどんなものでも外部から接続して、OPACをはじめとして提供されている様々な自館作成のデータベースや外部から導入されたデータベースを利用できるようになっている(図1:都合でシアトル公共図書館のサーバになっています)。
メニューの1はOPACであり、様々な手がかりから検索できる。2は地域情報源やレファレンスで質問される情報を整理したもの。3と5、6はインターネットを通じての外部情報資源へのリンクである。4は外部から導入されたデータベース類である。7はこのサーバの使い方や図書館のニュースである。Telnetで接続できる図書館サーバの多くはOPACを検索するだけのものが多い。
4.3 Gopherサーバ
Gopherはメニュー方式の階層構造のためにハイパーカード形式のWWWよりも全体像をとらえやすいという特長がある。この点は図書館のような万人がアクセスする場で使用するときには重要な要素である。また、キャラクタベースで情報のやりとりをするので動きが軽く、ネットワークへの負荷が小さくてすむというのも無視できない利点である。
クリーブランド公共図書館はミネソタ大学でGopherが開発された1991年にすでにGopherサーバを提供しはじめている。(図2:図はパイクスピーク地区公共図書館で、文章と図は対応していません。悪しからず)はこのサーバの最初のメニューを示している。1から9は中央図書館の主題部門毎に自館で作成したものやインターネット上に存在する情報のなかでクリーブランド市民にとって役に立ちそうなものを選び出し、整理して提供するものである。かなり多様で多量の情報を提供している。メニューの10以下は他の機関のサーバが提供しているものへのリンクを中心としている。
4.4 WWWサーバ
Gopherサーバを提供する図書館にボストン公共図書館、デンバー公共図書館など大都市の有名な図書館が多く、WWWサーバを提供する図書館に地方の中小規模の図書館が多い傾向が見られる。それはGopherがWWWより早くから開発されている技術であって1990年代前半に少しずつ普及したが、1994年くらいからWWWサーバが急速に普及して小回りのきく図書館が一足早くこれを提供しはじめたということを示している。
実際、1995年になるとアトランタ=フルトン公共図書館、ボルチモアカウンティ公共図書館、シカゴ公共図書館などがWWWサーバを提供しはじめており、今後は徐々に規模を問わずWWWサーバが公共図書館でインターネット対応をするときの標準となっていくものと思われる。
先のSJCPLは米国の公共図書館のなかで最初にインターネット上にWWWサーバを公開した図書館でもある。この図書館の状況をケーススタディとしてやや詳しく見ておくことにする。
SJCPLはインディアナ州とミシガン州の州境にありイリノイ州のシカゴ市にも比較的近いところに位置するサウスベンド市を中心にして、中央館と7分館によって人口約17万人の地域に対してサービスしている中規模の公共図書館システムである。その1991年度のサービス実績は表1のようである。6
この数値は全米の同規模の図書館と比較すると財政、職員の数、貸出点数、レファレンス処理件数のいずれをとっても高い方である。とくに人口一人あたりの貸出点数が10点を超える図書館はアメリカでもそれほど多くはないから、ここの図書館サービスが相当高水準であることがうかがえる。
この図書館は館長のドン・ナポリ氏自らが率先して図書館サービスにインターネットを積極的に取り入れている。1993年10月からインターネット接続が始まり、現在、中央館にパソコン(Macintosh)6台、各分館に1台ずつ配置し、インターネット専用端末として利用者に開放している。これらのパソコンは相互にEtherTalkとARA(Apple
Remote Access)によるネットワークで結びつけられ、専用回線で地元のノートルダム大学と接続している。1994年3月からはMacintosh Quadra950とMacHTTP Ver2を使ってWWWサーバを提供し始めており、館内外の利用者や外部のネットワーク利用者に公開している。7
ホームページのメニューを見てみよう(図3参照。)。メニューはまず館長のドン・ナポリ氏のウエルカムメッセージが現れる。そのあとメニューは次の6つの部分に分かれるが、図は最初の部分しか表示していない。
緑色のところはハイパーテキスト方式による他の情報源へのリンクを示しており、例えば最初のWelcomeのところをマウスでクリックすると館長の肉声によるメッセージが聞かれるし、SJCPL's On-Line Catalogをクリックすると自動的にtelnetが起ち上がり、OPACを利用できる。
(1)SJCPLが提供するデータベース
ここでは次のようなものが利用できる。
a オンライン目録--Telnetで接続するもので50万件のレコードが含まれる。近隣の3図書館システムの所蔵レコードがつけられている。
b コミュニティ・コネクション--1200以上の地域団体やサービス機関のディレクトリー情報
c サウスベンド・トリビューン紙索引--1990年以降の主要記事の抄録付き索引
d 月別のイベントカレンダー--SJCPLが主催する各種行事に関する情報
これらに1995年になって次のものが加わった。
e 1995年度インディアナ州州議会議員名簿
f SJCPL購読雑誌主題別一覧
g SJCPLインフォファイル--レファレンスデスクで受け付けた質問回答のなかで興味深いものを集めたデータベース
h SJCPLで編集した外部ネットワーク情報源のホットリスト
(2)SJCPLのインターネット接続に関する情報
(3)Michiana Freenetについての情報
(4)SJCPLのサービスポイントとサービス内容(地図入り)
(5)サウスベンド地区の高校のホームページ案内--これらはSJCPLのサーバによって提供されている。
(6)地図による他のWWWサーバへのリンク--サウスベンド地域、インディアナ州、世界
すでに大学図書館ではこのようなWWWサーバによるサービスはずいぶん普及しているが、公共図書館ではまだ多くはない。これは図書館で提供する典型的な情報資源であると言えよう。
4.5 情報サーバで提供される図書館情報
これまで見てきたものをまとめると、Telnet、Gopher、WWWによって公共図書館が提供する情報は大まかに分けてつぎようになる。
(1)その図書館の利用案内・広報
a 利用案内(開館日、開館時間、分館の位置など)
b 図書館広報(掲示板、広報誌など)
c 図書館の諸規則(館則、利用規則、収集方針など)
(2)その図書館で作成する情報データベース
a OPAC(図書、雑誌、視聴覚資料、その他)
b 地域文献のデータベース(地域的な雑誌、新聞の抄録・索引)
c 地域情報のデータベース(地域の公共サービス/民間サービスのディレクトリ情報、人物情報、カレンダー情報など)
d 図書館で受け付けたレファレンス質問のデータベース
(3)図書館が外部から導入した情報
a 図書館を含んだ広域の総合目録
b 商用データベース(索引・抄録など)
(4)その他の情報(書誌、全文テキスト、画像ファイル、音声ファイルな ど)
(5)外部のネットワーク情報資源に対するリンク
図書館のもっとも基本的な自己情報である利用案内等の情報やOPACなどはこの種のサービスを行うときに必ず含まれる情報資源である。現在、WWWサーバは多くの機関において自己情報のPR手段として利用されている。企業なら企業イメージおよび自社製品のPR手段であるが、公共図書館だと図書館の開館日や開館時間、利用規則といった情報に加えて、部門毎のサービスの概要の解説などが含まれる。これらが図や写真入りで説明されるわけである。また、WWWの場合は、クライアントからの情報の書き込みをサーバが受け取ることができるので、利用者からの要望や苦情を受けたり、アンケート調査などにも使用することができる。
OPACは図書館の蔵書に対する検索機能をもつデータベースである。検索方法はどのようなソフトウェアによるのかによって様々である。最近のOPACは所蔵情報のみならず、所蔵されている資料が貸し出し中か、貸出されている場合に予約がかかっているかも表示できるようになっているものが増えている。またシアトル公共図書館のように、インターネットを通じて利用者が資料の予約を行ったり、自分の貸出記録を見たりできるサービスを提供しているところもある。SJCPLのOPACはTelnetで接続するもので一般的にもこのタイプのものが多いが、クライアント側から文字列を送信する機能を利用して、WWW上で直接検索できるようにしたOPACも存在する。
図書館が提供する地域文献データベースや地域情報データベースはSJCPLの場合、1200以上の地域団体や行政サービスなどのディレクトリ・データベースや地元紙の記事の抄録データベースなど各種のものが提供されている。
SJCPLでは行っていないが、外部の機関が作成した商用データベースをインターネットを通して図書館が提供することがある。雑誌や新聞記事の抄録や索引の場合が多いが、百科事典やその他のレファレンスツールの場合もある。これは作成企業との契約に基づくのであるが、公共図書館のような公共性の高い機関での利用の場合、地域住民に対してそのデータベースを利用できるような契約についてはそれほど多額の追加的費用が要求されないことが多い。利用が住民に限られている場合にインターネット上でこの種のデータベースを利用するときは、ID(通常、貸出カード上のID)とパスワード(省略されるときもある)を要求される。
外部のネットワーク情報資源に対してどのようなリンクを張るかは、GopherやWWWサーバ上のホームページをつくるときの作成者のうでの見せ所である。SJCPLの場合は、地域内あるいは州内の代表的なWWWサーバ、米国の代表的な主題リスト(The Whole Internet Catalogやスタンフォード大学のYahooなど)をリストしている。また、レファレンスサービス部門が作成したHotlist of Internet Linksというページには100以上のリンクが張られている。
以上見てきたように、WWW、Gopher、TelnetサーバのいずれもがOPACを中心にして、利用案内、館内・館外で作成されたデータベースやファイルの提供を行うものである。技術的な動向として、Telnetで提供されているものからGopherへ、GopherからWWWへという方向に向かっているといえる。ただ、WWWサーバが最適かというと必ずしもそうでもなく、図書館で提供されるものがまだ文字情報が中心であるからネットワークに与える負荷を考えてもGopherによるキャラクタベースの情報提供が望ましいという意見もある。
5 ユニバーサルサービスとフリーネット
ユニバーサルサービス(universal
service)とは全米情報インフラストラクチャーを支える基本的概念の一つである。もともとは、電話会社が全国的な通信ネットワークを張り巡らすときの条件として、全国あまねく均等の条件で誰でもが使えるとともに使用にあたっての経済的負担が極力小さくなることを掲げたことに由来する。8すなわち通信はあらゆる人が生活を送る上で必要とするインフラストラクチャーであるから、どこに住んでいても経済的なステイタスがどのような条件であっても利用できるようにならなければならないという原則である。これをそのサービスの経営という面から見ると、広い地域に同じ条件でサービスを提供すると必ず黒字の地域と赤字の地域が生じるのであるが、それでもなおかつ黒字で赤字を補填することによって地域を問わず同じ料金ベースを貫くということである。電話以前に発達した郵便制度がこの原則で運用されているし、電気ガス水道や鉄道、高速道路などの生活基盤となる社会資本にはいずれもこのような考え方が取り入れられている。
先にも触れた1993年のNIIの政府行動計画(アジェンダ)では9つの目標の一つに、このユニバーサルサービスの概念を拡張して情報インフラストラクチャへのアクセスを含めることを挙げている。情報ネットワークが郵便や電話に代わりうる通信手段になりうるどころか、テレビ、ラジオ、新聞といったマスメディア、ミニコミや地域的掲示板など従来分散されていたコミュニケーション手段全体の代替的手段となりうるとすれば、ユニバーサル・サービスとして、あまねく誰もが軽い費用負担で利用できることが求められるわけである。これはアメリカという国の民主制の根幹に基づく考え方である。
このような概念の拡張が図書館関係者の間で公共図書館を通じてのネットワークアクセスという考え方に結びついていくのは自然なことである。公共図書館は最低限の情報と知識への均等なアクセスを保障する機関の性格を強めていたからである。特に1950年代、60年代に連邦政府はLibrary Services ActやLibrary Services and Construction Actを制定し、連邦の資金によって従来図書館サービスが行われにくかった非都市地域に多くの図書館を設置した。このことは、図書館行政が州単位に行われ、地方自治を原則のもとに図書館サービスが実施されてきた基本的方針を大きく転換し、連邦政府が介入して全国的に均一な図書館サービス空間を作りだそうとしたことを意味する。公共図書館がインターネットへのアクセスの入り口になるべきだという考え方が図書館員の間にも図書館員以外からも提出されているのはこの機関が歴史的に担ってきた役割を踏まえているのである。
アメリカでは通信の規制緩和後、料金がかなり低く押さえられるようになった。それに伴い各地に安い費用でインターネットへのダイアルアップアクセスを提供するプロバイダが数多く存在するようになっているし、大手のパソコン通信の会社もインターネット接続のサービスを提供している。これまで紹介したような各種の情報サーバは、住民が自らパソコンをもち、そのような経路を通じてインターネットに入ってアクセスすることを前提としているといえる。しかしながら、それでも通信のための機器を保有していない、保有できないといった人々はまだまだ住民全体からすれば多数派である。公共図書館はそのような人々のために、情報アクセスの均等化を旗印にしてインターネットへのアクセス手段を提供している。
McClureらの調査にあったように、館内にインターネットに接続したパソコンをおいて誰でも利用できるようにした図書館は割合は多くないが存在する。SJCPLでは、中央館およびすべての分館にインターネット利用のための専用端末がおかれていることは前述のとおりである。来館すれば開放された端末を通じてインターネットへのアクセスが誰でも可能になるのである。
また、都市部に対してこれまで情報アクセスの機会がきわめて限られていた非都市地域(rural area)の住民にとって、ネットワークが空間的距離を超えて情報を提供してくれるようになることはインターネットがもたらす新しい福音である。しかしながら、こういう地域では民間のネットワークプロバイダが存在することはまれであるので、大学や図書館をノードにして情報提供をするという政策はいくつかの州で進められている。たとえば、ニューヨーク州のGAIN(Global Access Information Network)は州域のネットワークであるNYSERNetのプロジェクトのひとつで非都市地域(ニューヨーク州はかなりそういう地域を含む)の公共図書館にネットワーク情報資源を提供するプロジェクトである。9
インターネットを経済的な条件を問わず誰でも利用できるものにするための運動としてフリーネット運動があり、これに図書館が関与することがある。これはクリーブランドのケースウェスタンリザーブ大学を拠点として始まった、誰でも無料でインターネットを利用できるようにしているコミュニティをベースとしたネットワークをつくる運動である。フリーネットはその名のとおり簡単な手続きさえすれば無料で利用できるものであり、ネットワークは地域性が強く、病院や大学、学校、役所、図書館などの地域の公共施設と密接な関係をもって運用されている。財政的には、地方自治体、地元企業、個人の寄付金などの基金でまかなわれている。現在フリーネットは全米で30以上存在する。10
フリーネットへのアクセス方法は2つある。ひとつはコミュニティ内の病院、学校、図書館などにおかれた端末からアクセスすることであり、もうひとつはパソコンとモデムによって公衆回線からアクセスすることである。これらを通じてフリーネットに入れば、電子メールのアカウントをもってメールのやりとりをしたり、WWW/Gopherで情報をブラウズしたりといった普通のインターネットサービスの利用ができるだけではなく、地域内の病院の医師から健康上のアドバイスを受けられたり、社会福祉サービスの部局からのお知らせを見たりといったコミュニティに根ざした情報提供がなされる。地域ベースの無料パソコン通信ネットワーク(BBS)がインターネットに接続したようなものである。
SJCPLにはMichiana
Free-Netと呼ばれるフリーネットの事務局が置かれ、ここが実質的にコミュニティ住民向けのインターネットのプロバイダの役割を果たしている。民間法人として設立されているフリーネットの事務局が図書館内にあり理事の一人に館長が就任していることから見て、このフリーネットの運営の中心に図書館があることが分かる。一般的にはフリーネットは大学やコミュニティ内の団体を中心として構成されており、図書館を巻き込むことはあっても中心に公共図書館があるというのは珍しい。
5 インターネット対応の前提条件
これまで述べたように、米国の公共図書館は通信手段として、情報探索手段として、情報提供手段として、さらに利用者にアクセス手段を提供する場としてインターネットをとらえてきた。まだ一部の図書館が行っているにすぎないとはいえ、現在の普及の勢いからすると数年後にはかなりの図書館がインターネットへの対応を済ますものと思われる。その際の一般的な考え方は、従来のような建物としての図書館において図書館員が印刷物を中心とする資料提供に加えてネットワーク情報資源を積極的に提供していこうというものである。
このような資料から情報へという重点の移動はレファレンスサービスの内実の変化と関わっている。インターネットを利用した情報探索や情報提供は、専門職の仕事としてしっかりと公共図書館で位置づけられているレファレンスサービスの延長上にあると考えられる。
Samuel Rothsteinのレファレンスサービス史の記述によって、米国の公共図書館サービスを歴史的に振り返ってみよう。11そもそも1876年のウースター公共図書館長S. S. Greenの人的援助(personal assistance)に関する提言は公共図書館のみならず、米国の近代図書館サービスの歴史の中で館種を問わず初めて明示的に出されたレファレンスサービスの理念の宣言であったと考えられる。これは近代図書館というものが単なる資料の管理の場、あるいは資料を自由に閲覧したり借り出したりする場ににとどまらない、資料を媒介にしてそこに含まれる知識や情報を利用する場であるという理念が内包されていたことを示すものである。
図書館は資料のコレクションを中核とするが、それは単なる印刷物の集合体であるだけでなく、要求に応じてその中身の利用が可能なように処理が施された社会的装置である。19世紀末から20世紀初頭はそうした処理技術の完成期であり、目録や分類の技術が標準化されたり全国レベルで利用される書誌索引が開発されたりして、資料が含む情報や知識を引き出すことが特定の図書館に限定されずに可能になった。けれどもそうした技術はあくまでもある程度その利用に慣れた専門家向けであるから、慣れていない人に対する専門的アドバイスであるレファレンスサービスが装置の機能に一部に組み込まれるのは当然のことであった。米国においてはレファレンスサービスは図書館サービス理念のもっとも基本的な部分に備わっていたのである。
公共図書館はこの時期基本的に市民の自己教育の機関という目的を掲げていた。その目的はのちに維持しきれなくなり、レクリエーションやさまざまな動機に基づく情報利用へと拡散していったといわれている。12このような目的の変化にあってもレファレンスサービスはその目的を支える基本的要素の一つとして図書館サービスの基盤に据えられていた。ローススティーンによれば、レファレンスサービスは歴史的に図書館員が利用者の最小限の手伝いをするという保守理論から利用者の要求に最大限に添うという方向へ向かっているわけであるが、これも目的によって利用者への介入の程度が変化しているのであって、人的援助の必要性の認識は一貫して変わっていない。
20世紀を通じて公共図書館の職員体制は専門職化を強めた。都市部の中央図書館では主題部門制が確立し、従来からの年齢別サービス部門とともに特定化された利用者に向けて人的援助をより深いレベルで実施することが可能になった。また、利用者の利用目的が自己教育にとどまらずに、娯楽、趣味、仕事、家庭生活といったものに広がるにつれて、提供する資料は図書から雑誌や新聞記事、パンフレット資料、マイクロ資料、オンライン・データベースなど多種多様なものに広がっていった。
現在、中規模都市の中央図書館で実施されるパブリックサービスとしてたとえば、一般市民を対象としたものとして消費者情報サービス、コミュニティ資源(公共サービスや社会福祉サービスなど)を紹介する案内紹介サービス(I&Rサービス)、近隣の企業を対象としたビジネス情報サービス、無職者に対する職業紹介サービスなどの実践事例が存在するが、これらはレファレンスサービスの延長上に現れたコミュニティに存在する特定のニーズに対応しようとした例である。現在、レファレンスサービスという名称だけではなくインフォメーションサービスという名称を使用している図書館が増えているのは、単に文献を媒介にしたものよりも直接情報を提供しようとすることが増えていることを示している。13
この動きは公共図書館が作成するデータベースとも関わっている。従来からパンフレットコレクションの維持管理などで一過性の断片的なコミュニティ情報の収集提供につとめてきた図書館は多いが、1970年代には案内紹介サービスの実践のなかでコミュニティに存在するサービス資源に関するディレクトリ情報の収集が新しい課題になった。このようなコミュニティ情報は多くの図書館でデータベース化され、冊子体として、館内のパソコンデータベースとして、さらにOPACと一緒にLANを通じて提供されている例は多くなっている。
それらがさらに図書館電算システムとして統合化され、館内のみならずパソコン通信を通じて外部の利用者に提供された例が1970年代後半から計画され1980年代前半には実用化されたパイクスピーク公共図書館の「マギーの家」と呼ばれる図書館機械化の統合プロジェクトである。14これは図書館管理に必要な収集、会計、目録、予約などのデータ処理に加えて、大規模なコミュニティ情報を収集提供するシステムともなっている点が特徴である。つまり、コミュニティに存在する教育コースや行政機関、民間団体、保育所、行事のカレンダーといった情報を収集し、オンラインで提供するシステムであった。現在これは、同館が提供するMAGGnetと呼ばれるGopherサーバとなっている。
また、1980年代からCD−ROMによるデータベースの提供が多くの図書館で行われていたが、当初それらはスタンドアローンで設置されていた。これが1990年代になると、外部から導入されるデータベースを館内LANで提供することが中規模以上の都市の中央図書館で一般的になる。これには基本的には2つのやり方がある。ひとつは、図書館のメインの機械化システムによってOPACなどとともに利用者用端末のメニューに加える方法であり、これは磁気テープやCD−ROMでデータを受け取りディスクに載せ換えて提供するものである。もうひとつはCD−ROMサーバの普及により、メインのシステムと切り離してパソコン端末で利用するものである。どちらにせよ、提供されるデータベースは雑誌や新聞の索引抄録や団体人物のディレクトリ情報などが多く、年間契約で提供される。公共図書館のような公的機関においては特別な付加的料金が科されることなくLANによるデータベース利用が可能になっていることが多い。
このサービスが館内に設置された複数の端末からの利用にとどまらず、モデムを用意することによって外部からのパソコン通信で利用可能になっているところも少なくないが、こうなればインターネットによる利用まではもう一歩である。前の章で述べたが、インターネットで提供される情報サーバのメニューでOPACをはじめとする自館作成のデータベース以外に図書館によってはMagazine Index(Infotrack)やReaders' Guide to Periodical Literature(Wilson)といった外部データベースをインターネットのサーバに載せているところがある。
以上見てきたように、インターネットへの接続を行う前提としては、19世紀後半の公共図書館サービス黎明期以来、米国の公共図書館が人的援助の理念のもとに様々な情報提供の努力を続けてきたことが挙げられる。人的援助とはすでにある資料を利用者に結びつけることではなく、利用者の直接的情報要求に資料を越えたあらゆる手段でこたえるというものである。こうして、米国の公共図書館は図書や雑誌を受け入れてそれを提供する資料指向の機関であることにとどまらずに、利用者指向を標榜して様々な情報提供(あるいは知識提供)の実験が行われたのである。これが今日、図書館でディジタル情報の処理が課題になったときに比較的容易に対応できるようになった理由であると考えられる。
6 おわりに
これまで検討したことをわが国の状況に当てはめて考えてみたい。すでに述べたようにわが国で図書館界がインターネットに注目しだしたのは1993年後半以降と考えられるが、大学図書館と専門図書館に限定された議論しか存在しない。ここには単に公共図書館が遅れているということですまされない重大な問題が存在している。
現時点では公共図書館が積極的にインターネットへの対応をとるような条件はほとんど整っていないといってよい。なぜかといえば、いうまでもなく財政的、技術的な点の問題が大きい。しかしながらなによりもわが国で人的援助を中心としたレファレンスサービスの伝統が十分に発達しなかったことによるものである。レファレンスサービスとは参考図書を収集しそれで答えられる範囲の質問に答えることではない。なによりも図書や雑誌にとどまらない多様な資料と情報のコレクションを準備することで、利用者の要求に事前に答えることが必要となる。米国の図書館が120年かけて蓄積した伝統に対して、わが国では一部の県立図書館や政令指定都市レベルの中央図書館をのぞいて、このような伝統をほとんどもっていない。
今後、通産省をはじめ各省庁の電子図書館プロジェクトや情報ネットワーク政策が公共図書館を巻き込むかたちで進展することが考えられるが、公共図書館の位置づけは現段階ではほとんど不明である。それに本稿で述べるような情報サービスの伝統がないところでインターネットを導入したところで有効な利用は期待できない。
わが国の市町村レベルの公共図書館においては市販出版物の提供に関する議論はあっても情報提供サービスの検討はほとんどなされていない。県や政令指定都市の図書館でレファレンスサービスは実施されているが、あくまでも大学図書館や専門図書館をモデルとし、主題知識の探索という学術的あるいは専門的レベルのものとして考えられがちである。図書館学教育の参考調査法のカリキュラムがまた主題専門志向が強いことがそれに拍車をかけている。すなわち、市民生活に密着した図書館が行うにふさわしい情報資料の収集と情報サービスについての議論はすっぽり抜けているのである。
とりあえず、現在でも一部の図書館では実施されている次のような人的援助サービスが中規模レベルの都市の中心館で一般的に行われるような雰囲気がつくられない限り、インターネットの有効利用までの道は遠いであろう。
(0)OPACにおける容易な主題検索およびキーワード検索機能
(1)OPAC端末の増設とパソコン通信方式による外部公開
(2)利用(読書)案内サービス(資料利用のための情報サービス)の常設
(3)レファレンスサービス専用デスクへの職員配置と複数の専任担当者の配置((2)と(3)は統合可能)
(4)CD−ROMの(できればLANによる)一般公開
(5)県立図書館を中心とした協力レファレンス網の整備
(6)商用オンラインデータベースの日常的利用
(7)地域新聞や雑誌記事の抄録索引データベースの作成
(8)パンフレット形態で出ている資料(地域・行政・団体資料)の収集提供
(9)新聞や雑誌のバックナンバーの保存のみならず(マイクロ資料による)積極的収集
きわめて近い将来、わが国でも公共図書館は資料提供の機関として自らを位置づけるにとどまるか市民の日常的な情報要求にこたえる情報資源として一歩踏み出すかの選択を迫られることになるだろう。これは図書館の目的をどう考えるかという問題ではない。住民サービスのための機関として住民の要求にこたえることはいずれにしても同様であるが、現在顕在化している要求を重視するのか潜在的には大きな要求が存在していると思われる領域にまで踏み込むのかということである。図書館がメニューとして用意しない限り、利用者が積極的にそれを要求することはない。
このことはインターネットへの対応という問題にとどまらず、もともとユニバーサルサービスに似たあらゆる人に知識/情報へのアクセスの機会を保障するという理念をもつ公共図書館にとって、今後の進むべき道を考えるためにきわめて重い課題として残されているといえよう。
注
1 全文が見られる。
2 95年までの資料は見あたらない。その後の資料はここにある。(2000/01/07確認)
3 McClure, Charles R.
et al. "Toward a virtual library: Internet and the National Research and
Education Network, " Bowker Annual of Library and Information 1993, p.27
4 "Public libraries
and the Internet," Information Retrieval & Library Automation, Vol.
30, No. 2, July 1994. p.1-4.元データは、McClure, Charles R., Bertot, John Carlo,
and Zweizig, Douglas L."Public Libraries
and the Internet/NREN: Study Results, Policy
Issues, and Recommendations." Washington,
DC: National Commissionon Libraries and Information
Science.1994. その後McClure(現在Florida State University)は、John
Bertotを共同研究者にしてインターネットと公共図書館についての調査を数多く手がけている。ここを参照。(2000/01/07付記)
5 それらの図書館の一覧はここを参照。すべてリンクが張られているのですぐに利用できる。
6 Public Library Data
Service, Public Library
Association, 1992.
7 以下のSJCPLのWWWサーバに関する情報は http://sjcpl.lib.in.us/ にある諸ページから得たものである。なお、本稿にある情報サーバの図もすべて1995年2月から3月に筆者の研究室にあるMacintosh Centris 650上のソフトNetScape 1.1b1、NCSA Telnet 2.6によって取得したものである。
8 林紘一郎・田川義博『ユニバーサル・サービス』中公新書 1994
9 Senkevitch, Judith
J. and Dietmar Wolfram,
"Equalizing access to electronic networked resources: a model for rural
libraries in the United States," Library Trends Spring 1994, p561-575.
10 フリーネット関係の情報は、ここを参照。
11 Rothstein, Samuel『レファレンスサービスの発展』[The Development of Reference
Services] 長澤雅男監訳 日本図書館協会,1978.
12 Pungitore, Verna 『公共図書館の運営原理』[Public Librarianship; an Issues-
Oriented Approach] 根本彰ほか訳 勁草書房,1994
13 米国の公共図書館のインフォメーションサービス指向については次の文献参照。 根本彰”日米の公共図書館の違いとは(II)--アナーバー公共図書館について”『みんなの 図書館』143-145号, 1989;根本彰”ボルチモアカウンティ公共図書館のサービス戦略”『現代の図書館』Vol.32, No.4, 1995, p287-293.
14 Dowlin, Kenneth E. 『エレクトロニックライブラリー』[The Electronic Library] 松村多美子ほか訳 丸善,1987 p159-202.